2010年3月22日月曜日

Nippn Brand Meister: 漆


英語でJapanと称される漆。
先日漆作家の先生による漆に関する講義を受けてきた。

そもそも、漆の木からどうやって漆を採取して、その液体をどのようにして作品や漆器類に使われるのか、様々な技法から、漆の産地まで色々なお話を伺うことが出来た。
驚いたのが、現在国内で流通している漆の殆どが中国などから輸入された輸入品で、国産の漆はわずか1〜2割に満たない流通量だという。伝統技能である漆塗りでも、国産で補えることが出来ず、中国に頼らざるを得ない状態であることに驚いた。何でも漆を採取する職人さんは、1年で400本もの木から採取する作業を行うが、実際に1本から採取できるのは、180cc~200ccのわずかな量らしい。先生が持ってきて下さった、歯磨きのチューブのような容器に入った生漆の量で、国産だと1万円ほどという高価なものだそうで、「絞り出して大事に大事に使ってます」という言葉が印象的だった。

漆器の特徴はその美しさ以外に様々だが、中でも抗菌性にすぐれているという。
だから、昔からお正月のお惣菜は、漆器に入れて保存をされていたのではないかというお話に、昔の人の知恵ってすごいなと感心しきりだった。

そんな中、一番心に残ったのが、道具のお話。
漆器塗りには数々の道具が使用されるが、その道具の殆どは、漆器作家自ら作ることが多いという。もちろん、自分が使いやすいように自身で作りたいという点もあるのだが、現状道具を作る職人さんがわずかしかいないという問題もあるからだという。筆屋さんは京都に2〜3軒、中でも貴重なクマネズミの脇毛を使った筆を作れる筆屋さんは京都に1軒しか残っていないらしい。また、余分な漆をこそぎおとすヘラのような道具は、クジラから作られる。もう手に入らないのは言うまでもない。

 
需要が少なくなった現代、供給もその変化にともない衰退していくのは、ある程度いたしかたない現実ではあるが、こんなにも美しい漆器類がなくなってしまうのは、日本人として悲しいこと。さすがにじゃあ、自ら職人となって伝統をつなげていくことは出来ないが、せめて一消費者として、伝統工芸品を購入、実際に使うことで、支えることをしていきたいと思う。
↓ということで購入したお椀。
マットな仕上がりの、普段使いにぴったりなお椀です。

ココで購入しました

3 件のコメント:

  1. そうだよね、高くてもその価値を勉強して理解したうえでの消費者になることは1つ継承する方法でもありますね。素敵ね、このお椀。

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  2. とっても素敵なお椀!やっぱりこういうのっていいよね。外国だと手に入りずらいので、憧れます。

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  3. やはり高級でも国産のお椀欲しいな。貴重だとしると余計に魅力を感じます。

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