2010年2月28日日曜日

どの時代も人って案外変わらない

知り合いの人が山崎豊子作品にはまっているのを知り、自分も今一度日本の大家と言われる人の作品を読もうと思いついた今年。昨年末から今年始めまで体調をくずし、家でおとなしくする日々も続き、読書にはうってつけのタイミングだった。さて何を読むかと近所の駅前にある小さな書店に入るも、揃えている本は限りがある。どうせなら単行本がいいだろう。日本の大家といっても、夏目漱石や太宰治はちょっとガラではないし。かといって今更村上春樹を読み始めるのもいまさら感がつきまとう。う〜ん、お。司馬遼太郎なんてどうだ?「龍馬がゆく」なんて、とってもタイミングとしてはいいのでは?と文庫本を探すも、全8冊の長さにたじろぐ自分。
う〜ん、セッカチーフな自分としては、やはりもうちょっと早めに結末が分かるものでないと、夢中になりすぎ、日常生活に支障をきたすだろう、、、。ウ〜ン。とうなることしばし。
ようやく松本清張作品に的を絞ることになった。

もともと小さい頃から推理小説が好きで、小学生からルパンシリーズ、中学生からアガサクリスティーの作品を読破してきた。松本清張なら飽きることなく読めるだろう。ということで読む事6冊。やはり推理小説はおもしろい。どうなるんだろうというワクワク感と、想像力を掻き立てられる描写が、次へ次へとページをめくらせる。読んだのは、

ゼロの焦点 (先日映画化されましたね)
十万分の一の偶然
天才画の女
蒼い描点
点と線

松本清張初心者の私が語るのも何だが、彼の作品はその時代を背景にしつつも、人間の持つ欲や悲哀、愛をテーマにしていて、時代を超えて胸を打つのだ。全て昭和の時代を背景にしているが、昭和初期の高度成長に突入した時代でも、戦争の悲しい過去が発端の話や、昭和半ば、各家庭にテレビが普及した頃のテレビ視聴率をめぐる謎など、その当時の時代が鮮やかに描かれている。大体電話だって昔は電話局に電話して、申し込みをしてからつないでもらうなど、今からでは考えられない通信レベルだったし、電報が最短の連絡手段だった。そんな中でも、人は、プライドだったり、出世だったり、見栄だったり、欲だったり、愛のために犯罪をおこしてしまう。そんなところが、時代を超えて読み継がれるゆえんなのだろう。また、これら作品はそれぞれの業界の裏側をかいま見れる面白さもある。その時代それぞれの松本先生が疑問に感じた部分を犯罪をからめた物語で問題提起しているところが、また、次の本に手をのばしたくなる理由かもしれない。

個人的には、テレビ番組の視聴率管理の方法というミステリーを明らかにするうちに、殺人事件にいきつくという「渦」や、人気作家の代作の謎を若手出版編集者コンビが追いかけるうちに、恋愛に発展する「蒼い描点」なんかが、読んでいて業界や、その時代の恋愛なんかがかいま見れておもしろかった。

読み出すと、まず家事やブログが手につかなくなるタチなので、ひとまず連休まで推理小説は休止にしよっと。でも皆さん、冬の夜長にワインと松本清張、結構はまりますよ!


1 件のコメント:

  1. ”冬の夜長にワインと松本清張”はキャッチです。

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